ドッホ断る

芸術とか音楽とか言いながら生活の苦悩も語るデザイナーの雑感

デザイナーがAIに負ける日

AIから自分を守れるか

 

 

 

美大を出てインハウスのグラフィックデザイナーとして働いている。

 

過去記事では「デザインなど所詮第二芸術」と半ば自虐的に純粋芸術に対して献上したけれど自分の仕事に関して小さいながら誇りを感じているしやり甲斐もある。

 

でも、この先ずっとこの仕事をやっていけるかはわからなくなってきた。

 

 

 

 

デザインという行為を芸術の範疇と定義する。

 

芸術という言葉はドイツ語だと[Kunst]。Kunstの詳しい語彙は以下。

 

語源[編集]

古高ドイツ語 kunst 「知識、学問」

können, kund と同系

名詞[編集]

女性、属: Kunst, 複: Künste

  1. 芸術美術
  2. わざ技能
  3. 人工のもの

 

 人工。つまり”人間が作ったもの”という意味が付随する。まあ当たり前か。

 

でもそれが揺るがされた一件がある。

 

例の「The Next Rembrandt」プロジェクトである。

AI強すぎんよ〜 

www.nextrembrandt.com

 

 

レンブラントが描いた全346作品の3Dスキャンデータを基に絵画の主題や構図、服装の特徴、性別・年齢などを学習して生成された人工知能が用いられ、レンブラントの「画風」「スタイル」を模倣してレンブラントの「新作」を生成するというもの。

 

それにより出来上がったのが下の画像の絵である。

f:id:doch:20170517171114p:plain

https://www.nextrembrandt.com/より

 

これのすごいところは3Dプリンタによる出力で筆跡の凸凹まで再現しているところで、

あららAIが「創作」しちゃったよお

という固定観念デストロイの衝撃的な事件なのです。

 

AIには奪われないであろうと思われていた「創造」の分野にテクノロジーが大きく踏み込んできた瞬間。

戦々恐々としたクリエイターは自分だけではないでしょう。

 

 

 

もちろん、「画風」「スタイル」を模倣したものに過ぎませんし、コピー可能な複製品という点でアウラを含蓄するものではないですが、この世になかったものをAIが生み出した事は事実です。

 

 

 

淘汰か進歩か共存か。

デザイナーに残されたのは「想像」の道だけかもしれません。

 

 

レンブラント―光と影の魔術師 (「知の再発見」双書)

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